日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」

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甦る日本の和服 伝統技術と匠の技

七代目辻村染織再び(1)


「ずいぶん忙しくなっちまったね。でも、わしのペースでやるだけさ…」



「一枚でも着てもらえば、私は嬉しいね」――前回、初めてお訪ねした時に七代目がボソッと呟いた最後の言葉がこれであった。



あにはからんや、七代目の予想(?)は見事に外れ、刺子織作務衣三点は発表と同時に大変な反響。予定した枚数はあっという間に売り切れ、追加、追加でてんてこまいという状況が生まれてしまった。一年経過した現在、新作準備中の七代目を訪ねてみて、その近状などを報告してみたい。



「羽織は悪いことした。でも、そのぶん今回はもっと頑張るからね」



やはり、てんてこまいであった。しかし、目は笑っている。やあ、と手を上げて、しばしお茶の時間となる。



「いやあ参ったよ。こんなに仕事したのは何年ぶり…いや何十年ぶりかねぇ」

と手を見せる。ツメの間まで藍に染まっている。こちらとしても想像以上の反応で驚いていることを伝え、やはりモノが良いと売れますね――と水を向ける。途端に照れてしまう七代目、変わっていない。



「まあ…というよりも珍しかったからじゃないかね。刺子の作務衣ってのがさ…」

ところで、会員の方から“羽織”が矢の催促なんですけど――。



「あ、それそれ。悪いことしたね。すぐにやっちまうはずだったんだが、作務衣の方に追われてしまって。いくら忙しいからって、一枚一枚手を抜くことはできないしな、ついつい後回しになってしまったんだよ。でも、今回は大丈夫。必ず間に合わせるから…」

とのこと。刺子織の羽織を待ち望んでいる方へよろしくと七代目からの伝言である。



「しかし、ちょっと裏地が気に入らなくて、もう少し試作してみようかとも思っているんだ」

これが名人気質というものか。刺子織羽織も期待が持てそうだ。

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