日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」

日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」は「作務衣の専門館『伝統芸術を着る会』」によって運営されているウェブサイトです。
カタログ和服こぼれ話

デニムの浪漫(1)



夢と共に大西洋を渡った生地。



陽光がオペラのような賛歌を振りまく。

風が鳥のような飛翔を誘う。

人々の歓声と笑顔が弾け、船はゆっくりとヨーロッパの岸を離れゆく。



一路、新天地アメリカを目指して――。



その夢と共にデニムも行く。

数え切れぬほどの希望を、その粗く温もりのある生地のひと織りに込めて。



やがてそのブルーは海と同化し、さざ波のように世界へと駆け、年齢も性別も時代をも越えて、人々を魅了し続ける。今も、未来も――。



デニムの故郷である南フランスの街“ニーム”



デニムの故郷、南フランスのラングドック地方に位置する街、ニーム。昔から水に恵まれた土地で、街の名前の意味も「南の泉」を意味しています。



農作物に適した地味豊かな平野。パリやリヨンなどの都市に通じる街路を持ち、地中海へと続く道を持っていたこの街は、経済的な発展を見せ、15世紀の興った繊維工業と結びつき、さらなる発展を遂げました。



18世紀になると街には織物学校も作られ、やがて産業革命の余波が伝わると、染織工程ばかりではなく、織りの工程にも分業制ができ、生産量はぐんと高まりました。



やがてニームは織物の街として栄え、その織物は、地元の市だけではなく、ついには新世界であるアメリカへ至るようになります。



アメリカへの輸出品であるブラックタイやカシミアのショールなどの商品に交じっていたのが、当時、ニームの市民が普段着にしていたサージ織りと呼ばれる粗い生地で、これが現在のデニムの原型だと言われています。

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