日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」

日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」は「作務衣の専門館『伝統芸術を着る会』」によって運営されているウェブサイトです。
93~94年の作務衣 , 藍染作務衣 , 甦る日本の和服 伝統技術と匠の技

万葉百彩染羽織 青淵(まんようひゃくさいはおり せいえん)

他の作務衣には合わせて欲しくない…という想い。







この羽織だけは、「青淵」作務衣にのみ合わせて着て欲しい――青木渓水さんから、会員の皆様へのメッセージを託されました。







通常、さまざまな作務衣に合わせて、その雰囲気をお楽しみください、という具合に羽織をおすすめしている私どもも、今回の職人たちの想い入れの強さの前には一言もありません。







もちろん、この「青淵羽織」は作務衣と同じ素材、染め、織り。やはり10周年記念作品となっております。




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万葉百彩染作務衣 青淵(まんようひゃくさいさむえ せいえん)

10年の歩みを物語り、さらにこれからの作務衣づくりを展望する記念の一着を作りたい――こんな大テーマに、武州の職人最強トリオが燃えた。







武州が生んだ明治の英傑、渋沢栄一が愛した<青淵紬>への挑戦。



素材は敢えて綿。繊維の宝石と言われるトルファン綿糸を藍に染め、タテ糸に使用。ヨコ糸は茶と緑の草木染による糸と藍糸を撚り合せた太糸にて紬織を再現。







その名にふさわしく、青き淵を想わせる深き藍の彩り。その風合いは絹に優るとも劣らず。



10年の成果を結集させたこの一着は会員諸氏への献上気分。

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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(4)

10年の歩みを象徴。そして、作務衣の先を見つめた一着。







「伝統工芸士などという妙な肩書きが付いたから、少し肩に力が入ったけど、この出来なら栄一さんも納得してくれると思うよ。あとは皆さんがこの作務衣の良さを、会員の方にどう伝えてくれるかだけだね。まかせたよ」



渓水さんから厳しいバトンを受け取ってしまった。







伝統様式をきちんと守って開発した「武州正藍染作務衣」一着を引っさげて、作務衣を世に問うてから10年。素材、彩り、技法などにその幅を広げながらも、当会の理念は変わることはない。







その証ともなる今回の10周年記念作務衣は、「青淵」の名を得てここに完成した。職人たちの冴えわたる技が表現したこの一着を、見識高き会員の皆様に委ねる次第である。

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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(3)

正藍染の草木染の茶と緑糸を撚り合わせて紬に…







気分が乗っていたのだろう、いつもなら2~3ヶ月はかかる試作期間がその半分で済んだ。完成試着会に望んだ職人たちの満足気な顔付きが、今回の記念作務衣の出来栄えを物語っている。深みというか奥行きのある藍である。微妙に緑色がからみ、まさにその名の如く青淵の彩りだ。







タテ糸は例のトルファン綿糸を正藍染にて先染め。武州ならではの絣が生きている。ヨコ糸は…。







「茶と緑の草木染の糸に、藍染の糸を撚り合せた太糸で紬に仕上げてみた」と石塚さんの口から自信満々の説明である。







青木渓水さんは含み笑いしながら口をはさまない。文句なし!という時に見せるこの人の表情である。



秋元さんは?知らぬ顔の半兵衛を決め込んでタバコをふかしている。







この三人の構図をして、武州では“完璧”という。

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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(1)

「ワシは黒子でいい…」と、本誌への登場を頑なにこばみ続けてきた青木渓水さん。染めの秋元一二さん、織りの石塚久雄さんを率いてすべての作務衣づくりに参加してきた。いってみれば、武州職人の元締め的な存在である。







しかし、今回だけは黒子を決め込む訳にはいかないようだ。伝統芸術を着る会の10周年を記念した作務衣づくりであるばかりか、当人の伝統工芸士認定を記念する意味も込められているのだから…。







<青淵紬>の再現に武州の職人たちが燃えた!







「10周年記念だろう。武州の名にかけてもヘタはうてないぞ、なぁ…」



渓水さんが鬼になった。この気迫に秋元、石塚という武州が誇る名職人二人の顔にも緊張が漲っている。



「で、考えたんだが、ここ一番は栄一さんのアレしかないんじゃないか…と思うのさ」と渓水さん。「青淵か!」と秋元さん。「紬だな!」と石塚さんが素早く反応する。







武州が生んだ明治の偉人、渋沢栄一が好んで愛用していた<青淵紬>を再現、記念作務衣として仕上げようということである。すでに渋沢家の了解は取り付けてきたという。渓水さんがノッている。







代々、藍玉問屋として利根川流域の藍玉を商っていた渋沢家だけに、理解は深い。武州のため、藍染の発展のためなら――と快諾。栄一翁の雅号であった<青淵>を記念作務衣の名称として頂くこととなった。







「何だか大層なことになったなぁ」と秋元さん。「こいつは大仕事だ」と石塚さん。10周年記念、伝統工芸士、そして渋沢家の期待――さまざまなプレッシャーが、武州の職人魂に火を付けたようだ。







藍染液の調子を整える地味だけと大切な役目<藍建>は、渓水さんが自分でやるという。秋元にいい仕事させたいからね…と藍ガメのそばに座り込む。何だかいい雰囲気になってきた。

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万葉百彩羽織 絢爛(まんようひゃくさいはおり けんらん)

万葉百彩の草分けとも言うべき、創織作家・石塚久雄さんが織り上げた話題の羽織です。まさに絢爛、百彩の糸が織りなす色絵巻。どんな作務衣にあわせても、雰囲気をこわすどころかその作務衣の個性が際立つのですから、なんとも不思議…。


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万葉百彩織作務衣 卯月(まんようひゃくさいさむえ うづき)

この色をして“卯月”とは言い得て妙。春爛漫は四月の色。







タテ糸は武州ならではの正藍染。そしてヨコ糸の緑は、安定度の高い化学染液をベースに、草木染めの味付け。







この先染めの糸を操り、手織感覚で巧みに織り上げていく。まさに、染師と織師の完成が成し遂げた色合い、風合いといえる。



名付けて万葉百彩織作務衣“卯月”。


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春に挑んだ二人(5)

卯月とはいい名前だ。春のすべてが表れている。







「名前はどうつけるんだい?」と今度は秋元さん。早春でもなく、晩春でもなく、春真っ盛りの四月。春すべてを包括する意味で“卯月(うづき)”としたいと思うと恐る恐る答える。「卯月…ほう、ええねぇ」と石塚さん。鶯(うぐいす)などと言われたら反対するつもりだったという。







古来より植物染料として定評のある四種の染料を混入したことから万葉、織りで創った彩という意味で“百彩”織りと表現したいとの申し出にも了承をもらい、ここに――万葉百彩織作務衣「卯月」が誕生した。







この作務衣の良さ、わかってくれるよねぇ…







待つこと半年。すべてをゆだねた春の作務衣開発は、武州職人の飽くなき探究心と心意気により、想像以上の成果を上げたといえよう。



「あ、言い忘れたけど素材は上質の綿だからね。綿でなくちゃいけないんですよ」と石塚さん。







突然、石塚さんの提案で利根川に夕焼けを見に行く。落ちてゆく夕日を見ながら「分かってくれるよね」とつぶやく石塚さん。大丈夫、うちの会員のレベルは高いから…と答えたら、嬉しそうに笑った。







【交織織りについて:画像上】











【交織織りについて:画像下】




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春に挑んだ二人(4)

1インチ単位で糸の交わりを考える交織技法だから…







思わず息を呑む。何と言えばいいのだろう…この色は。微妙で薄く明るい緑に、藍のタテ糸がひそやかに走っている。







「じゃ、これを見て」と石塚さんが四、五枚の布地を見せてくれる。ほとんど違いが分からない。



「いや、全然表情が違いますね。この違いに悩んだんです。タテ糸を流しながら、1インチ単位でヨコ糸の飛込みを考えるんです。1インチの中に何本ヨコ糸を入れるかで、表情がまるで変わってきます。ですから、試し織りは何度もやりましたよ」







「石塚さんの試し織りは30メートル単位だからスゴイよねえ…」と秋元さん。え?30メートル単位?







「2~3メートルじゃ分かりません。30メートルは織ってみなきゃ…」と平然たる石塚さん。



藍染のタテ糸がカスってるから計算できないものがあり、これもやむを得ないのだという。



「陶芸でも、カマの中で灰が思わぬ模様をつくるから、カマから出してみなければ作品の仕上がりが分からないというでしょう。あれと同じです。だから、何度も織ってみるんです」







やっと満足がいったという。これが石塚さんの考える春の彩だという。何も言うことはない――あとは、この彩をどう会員に伝えられるかが問題だ。







「生地見本はつけるんですか?」と石塚さんに聞かれた。30メートルとは比較にもならないほど小さいが、付けたいと思ってると答える。







「いや、小さくてもいいんです。彩には質感もありますから…。それに写真でこの色を表すのは、申し訳ないけど絶対無理ですから。是非添付してください」とのこと。石塚さん、相当の自信あり――と見た。




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春に挑んだ二人(3)

納得がいかないから四種の植物染液を加えた







藍が基本となった薄線――これが二人が打ち出した結論。



「藍は日本人の心の色です。そして草木の芽吹きや自然の色どりはやはりみどり。これをどう組み合わせて彩にするかが大きなポイントとなりました」と石塚さん。身振り手振りもまじえ、表情がイキイキしてきた。







まず先染めの糸揃えから。ヨコ糸はムラのないきちんとした緑系のものが欲しいということで、敢えて機械染めにする。そして、タテ糸は遊びのある手染めの正藍というのが石塚さんから秋元さんへの注文。







「ヨコ糸に使う染料を見せたら首をかしげる。実際に染めてみると確かに単調過ぎる。そこで草木を混ぜてみようということになったわけだ」







藍の葉と梔子(くちなし)の実から抽出した染液を少々。そして、黄色味を出すために刈安(かりやす)を多目に、さらに赤みを加えるためにインド原産の蘇芳(すおう)を高級科学染料に少々混ぜたという。深みのある自然な感じのする濃緑のヨコ糸が出来上がった。







「タテ糸の藍染は秋さんの十八番。ほら、これがそうですよ」とタテ糸を見せてくれたが、どう見ても綿の生成色にしか見えない。かせ糸の奥の方が少し薄く藍がかってはいる。







「三回も染めたんだよ。それでいてこれさ。ま、これが藍染の技術ってもんかな」と秋元さんニヤリ。



「紺に近く濃く染めたら分からないけど、これだけ薄いと手染めならではのムラが分かるでしょ。これが面白いんです。機械染めの安定した緑色に、この遊び心のある藍が交わったら…ハイ、これが織り上がったものです」と完成した布地がいよいよ登場した。

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春に挑んだ二人(2)

日本人の心にある春の色ってどんなものかな?







主役の二人が笑顔で迎えてくれた。一人はもうすっかりおなじみになってしまった藍染師の秋元さん。そして、もう一人が、今回織りを手がけてくれた石塚久雄さんだった。







石塚さんとは初対面だが、その名はよく耳にしていた。武州織物「石織」の三代目として家業を継ぐ一方で、創織作家として作品展や創作コンクールを総なめ。まさに日の出の勢いを持つ織り師であるとか。当会の、“条件無し、最高のものを…”という無理難題に、武州は最強のコンビで立ち向かってくれたのである。]







「面白い、やってやろう!と作家ごころが騒ぎ引き受けたんですが、いざスタートを切ってみると、正直なところ頭を抱え込んでしまいましたよ」と石塚さん。秋元さんもかたわらでうなずいている。







「春の色ってなんだ?と、秋さんと二人で考え込みましてね。やれ桜だ鶯だ、菜の花だなんて次元からわいわいやってる内に、何がなんだか分かんなくなって…ねえ、秋さん」







「ウン、そうだな。わしは染め屋だから“色”を考えるけど、石塚さんは“彩”を考えるんだ。あれこれ二ヶ月くらい迷っちまったかなァ」と秋元さんも同調する。







織物を求めて世界を歩き回っている石塚さんが求めたのは、日本人の心にある春の“彩”だったという。







「それは具体的なモノの色ではなく、心象的な彩だと思ったんです。そこで、秋さんには悪いがこれは織りで彩るしかないと決心しました」


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春に挑んだ二人(1)

染めなくて“色”は無し、織りなくて“彩”は無し。武州が誇る染め師と織り師が四つに組んだ。







一切の条件は付けなかった。素材、色、織り…すべておまかせ。そのかわり、これぞ“春の作務衣”の決定版とも言えるものをお願いしたいと武州へ依頼したのである。







途中での試作も見ないという大胆な開発計画であった。見ると口が出したくなる。そうなれば独創性が消えてゆく…。それは、伝統芸術を着る会が進めてきた作務衣開発の過程の中で、春の新作への期待がいかに大きいかを物語っている。







待つこと半年。一本の電話が完成の報を告げた。降り立った武州の里は二月の初旬にも関わらず、ポカポカ陽気。何やら幸先の良さを予感させてくれる。

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本藍染しばり絹作務衣 桐生(ほんあいぞめしばりぎぬさむえ きりゅう)


桐生が問う。本物とは何か――技冴える傑作誕生!

“しばり絣”と本藍染めが生んだ、思わず触れたくなる生地の表情…。




悠久の歴史、絶え間なき研鑽、伝承され続ける職人技…織物と染めの里として世に名を馳せる桐生。

先取りの気性豊かなその地が生んだ技の結晶を注ぎ込み、圧倒的な存在感と格調の高さを併せ持つ作務衣として完成させたのが、当会自信の「本藍染しばり絹作務衣 桐生」です。



写真をご覧いただければお分かりいただけるように、生地全体に刺し子風の凹凸があり、それが本藍染と見事に融和し、たまらない魅力を醸し出しています。



この微妙かつ豊かな表情を生み出すことができたのは、かせ糸を丹念に手作業でくくり本藍染で仕上げるという職人技である「しばり絣」を採用したため。

この技は、くくりの際に生地の出来上がりを想像しながら、微妙な強弱をつけていくという、まさに経験と感性に真打された職人技でなければ成しえない手の込んだ困難なもの。



だからこそ、出来上がった一着には、満々たる誇りを込めて“桐生”の名が冠されているのです。人に会うなら、迷わずこの一着。堂々とまとっていただきたい自信作です。
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◆年代で見る和服「作務衣」 , カタログ和服こぼれ話

二部式着物(にぶしききもの)


家庭で着物を着る女性が年々減る一方です。その理由としては、“着付けが大変な上に、帯がきゅうくつで長時間着ていられない”という答えが圧倒的なようです。



そこで開発されたのが<二部式着物>。着物が上下にセパレートされていて、下は巻きスカートのように、上はジャケット感覚で着ることができます。これなら、どなたでも着付けの時間は5分とかかりません。ゆったりとした仕立てで、きゅうくつ感はまるでありません。



伝統的な着物の美しさに、着やすい動きやすいという合理性を加えたこの二部式着物なら、普段着の和服として気軽に着ることができるでしょう。ご主人の帰宅を、この二部式着物で三つ指ついてお迎えになれば…ご主人の嬉しさと驚きの入り混じった表情が、目に浮かぶようですね。



ホームパーティーやちょっとした集まりの時に着用すれば、場の視線はすべてあなたのもの。わずか5分で大変身できるこの二部式着物。ぜひ一度お試しを。

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武州交織作務衣 浅緑と羽織(ぶしゅうこうしょくさむえ あさみどりとはおり)

タテ糸に幾度も藍がめをくぐらせながら薄く染め上げた正藍染の糸。これに交わるヨコ糸は蘇芳の黄色を採り込んだ草木染の糸。加えて、太さ細さが不均一な藍紺のスラブ糸。



この三糸を交織技法にて織り上げ彩りとする。







そのさじ加減は織り師の腕と感性。



総じて草を思わせる色合いに、さまざまな表情がこぼれ出る――これこそ交織の醍醐味。







織り師のたくらみに五感をゆさぶられ、そのイメージは限りなく広がってゆく…。







羽織の写真もご覧下さい。淡い草色の広がりを、同系の濃い緑がきりりと引き締めています。羽織としては初めて衿にそって彩りを配しました。



作務衣そのものをさらに奥深く印象的にする羽織――おすすめします。


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武州交織作務衣開発秘話(3)

微妙で味わい深い彩り、横へのアクセントが新鮮!







音沙汰なしで一ヶ月。やっと連絡があり駆け付けました。前回と違い笑顔のたえない石塚さん。これならまちがいなくいい仕上がりと分かります。







見せられた作品は、やはり想像以上の出来栄え。離れて見ると、薄い緑。近くに寄ると黄色や藍色が微妙にからんでいて、織りで彩りや表情を表現する石塚久雄ならではの世界が展開しています。







タテ糸は秋元さん得意の正藍染。ほとんど生成色に薄く染め上げる技術は他の追随を許しません。



ヨコ糸は石塚さんの希望に応じて二種類。太くなったり細くなったりしているスラブ糸を藍紺に染めたものと草木染料<蘇芳(すおう)>で染めた普通糸。この日本の糸をさらに一本ずつ縒って使用しています。







石塚さんが悩んでいた表情づくりはこの二本の糸とタテ糸の交織(種類の異なる糸で織る)でみごとに解決。特に横に走る紺糸のラインがアクセント。これまで縦に流れる縞や柄を見慣れた目にはとても新鮮に映ります。







綿の上下で藍染めによる仕立て――という伝統様式をきちんと守りながら、ここまで新鮮で味のある彩りや風合いを創り出してしまうのですからさすが名職人。



やはり、この武州の名コンビは格が違います。何だか誇らしい気分です。







優しい色合いに似合わずしっかりとした腰のある生地。







「なよなよとした生地は作務衣には合わない。だから一寸当たりの打ち込み数を横は44本にしておいたよ」と石塚さん。







触ってみると、なるほど。しっかりした腰のある感じが伝わってきます。皆様も、お付けした生地見本にてこの感触と微妙な色合い、さらには石塚さんの言うところの“表情”をぜひご確認下さい。







初心に戻っての作務衣作り。伝統を求めることにより得られた新しさを胸を張ってお届けできる喜びはまた格別です。

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武州交織作務衣開発秘話(2)

満を持しての登場!おなじみ武州の名コンビ。







「そろそろ来るころかなと思ってたよ。また難しい問題を抱えてさ…」とニヤリ。



武州藍ひと筋に40年近く、そろそろ70歳を迎えようかというベテラン藍染師の秋元一二さんは相も変わらず飄々として余裕たっぷり。相方のイッサンはすでに試作に入ってるよ、と教えてくれました。







石塚久雄さん。独創的な作風で表彰、受賞は数知れず。創織作家として活躍中。







仕事場を訪れてみると、案の定30メートル単位の試作反物に埋もれて頭をひねっています。秋元さんと共に依頼の件を話すと、まぶしそうにこちらの目を見て「横のラインにアクセントかなぁ…」と意味不明な言葉をぼそり。石塚さん完全に入っています。







「藍と草木の交織でやってんだよ。ホラ、ここまで出来てるがね…」と試作を見せてくれました。いい色合いじゃないですか。というと、くるりと振り返り、ジロリと怖い顔。







「表情が無いんだよ。秋さんの藍糸は文句なし。問題は横に打ち込む草木の糸。何かひとつ決め手に欠けるんだ。もう少し考えさせてくれ…」







こうなったら任せるしかないよ――と秋元さんの目が語っています。


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武州交織作務衣開発秘話(1)

初心に戻り、綿と藍。草木との交わりが生み出す風趣の彩りに、思わずため息ひとつ。伝統様式を踏まえた一着。そこに新しい何かを…。







「サマーウール、ジュンロン、コーデュロイ、スエード…伝統芸術を着る会の巻等新作は横文字が多いね」という声が寄せられます。それは批判というよりも、よく頑張ってるね――という内容なのですが、やはり少し気にかかるものです。







確かに、作務衣の開発を積極的に進めていけば必然的に、このような素材の導入は起こり得ることで、時代や機能に即応した作務衣づくりとしては、当会ならではの仕事と胸を張れます。しかも、これらの作務衣がすべて会員の皆様に好評なのですから…。







ただし、ひとつだけ肝に銘じておきたいことがあります。それは、新しい作務衣の開発に気をとられ、古き佳き装いとしての伝統様式の見直しをおろそかにしてはいけないということです。







初心忘れるべからず…。そういうことです。10年ひと昔、まさにその機至れり。







というわけで今回の巻頭新作は作務衣の伝統様式をしっかりと踏まえた一着にしたいと考えました。もちろん、ただ昔のまんまというわけではありません。そこに新しい何かを、そうプラスアルファを加えた作務衣づくりを目指しました。







そうなると、作り手はあの二人しかいません。




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