日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」

日本の和服・作務衣を専門に追求した「作務衣博物館」は「作務衣の専門館『伝統芸術を着る会』」によって運営されているウェブサイトです。
甦る日本の和服 伝統技術と匠の技 , 97~98年の作務衣

『透かしの美学』ここに極まる。(2)

八代目と力を合わせ、『透かしの美学』が遂に完成



新作「本藍染すかし絣作務衣」は、まさに夏の作務衣の究極品。その魅力は、実際に触っていただければお分かりいただけると思います。



藍染めが醸し出す深い趣、しばり絣を用いた手作り感覚あふれる自然な織の味わいとシャリ感には惚れ惚れするばかり。



さすがは脂の乗りきった八代目の仕事。参りましたと頭を下げるスタッフの心の視線の向こうには、新作をまとう貴女の姿はもちろん、それを見やる周りの方々の涼しげな表情が、しっかりと浮かんでおりました。
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97~98年の作務衣 , 甦る日本の和服 伝統技術と匠の技

『透かしの美学』ここに極まる。(1)


先人の素晴らしい知恵が生み出した技を追求



「暑いからって、日陰でぐったりなんて無粋だね。粋な奴は季節を手玉にとって洒落た格好をするもんだ」と、江戸時代に一世を風靡した、ある歌舞伎役者が言ったとか。



その精神は作務衣の専門館と呼ばれる当会の創作意欲にも脈々と流れるもの。だからこそ、いにしえの時代から沢山の洒落ものたちを魅了してきた<紗>や<絽>の透かしものを作務衣に用い、『透かしの美学』と銘打って、“目で涼を楽しむ”という粋の極みを提案し続けてきたのです。



そして今回、それをさらに高めた究極の作務衣を創ってみよう、と話が進み、やるならば他とは格が違う、個性的な超一級品をということで、おっとり刀で駆けつけたのが、あの遠州西ヶ崎八代目、辻村啓介さんの仕事場でした。



着心地はもちろん、目で涼を楽しむ一級品を



当会が意気込んで八代目にお願いしたのは、『透かしの美学』の完成品とも呼ぶべき本格派の作務衣。黙って聞いていた八代目が我が意を得たりとばかりに発した次の言葉に、スタッフは胸が高鳴るのを覚えました。



「実はいま、洋装の世界でも透かしものが主流になろうとしているんダ。いわば、やっと時代の方が、伝統芸術を着る会に追いついたということだネ。難しいけど腕がなるよ」と言ってくれた八代目の笑顔、いやはや実に頼もしい限りでした。
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万葉百彩染羽織 青淵(まんようひゃくさいはおり せいえん)

他の作務衣には合わせて欲しくない…という想い。







この羽織だけは、「青淵」作務衣にのみ合わせて着て欲しい――青木渓水さんから、会員の皆様へのメッセージを託されました。







通常、さまざまな作務衣に合わせて、その雰囲気をお楽しみください、という具合に羽織をおすすめしている私どもも、今回の職人たちの想い入れの強さの前には一言もありません。







もちろん、この「青淵羽織」は作務衣と同じ素材、染め、織り。やはり10周年記念作品となっております。




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万葉百彩染作務衣 青淵(まんようひゃくさいさむえ せいえん)

10年の歩みを物語り、さらにこれからの作務衣づくりを展望する記念の一着を作りたい――こんな大テーマに、武州の職人最強トリオが燃えた。







武州が生んだ明治の英傑、渋沢栄一が愛した<青淵紬>への挑戦。



素材は敢えて綿。繊維の宝石と言われるトルファン綿糸を藍に染め、タテ糸に使用。ヨコ糸は茶と緑の草木染による糸と藍糸を撚り合せた太糸にて紬織を再現。







その名にふさわしく、青き淵を想わせる深き藍の彩り。その風合いは絹に優るとも劣らず。



10年の成果を結集させたこの一着は会員諸氏への献上気分。

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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(4)

10年の歩みを象徴。そして、作務衣の先を見つめた一着。







「伝統工芸士などという妙な肩書きが付いたから、少し肩に力が入ったけど、この出来なら栄一さんも納得してくれると思うよ。あとは皆さんがこの作務衣の良さを、会員の方にどう伝えてくれるかだけだね。まかせたよ」



渓水さんから厳しいバトンを受け取ってしまった。







伝統様式をきちんと守って開発した「武州正藍染作務衣」一着を引っさげて、作務衣を世に問うてから10年。素材、彩り、技法などにその幅を広げながらも、当会の理念は変わることはない。







その証ともなる今回の10周年記念作務衣は、「青淵」の名を得てここに完成した。職人たちの冴えわたる技が表現したこの一着を、見識高き会員の皆様に委ねる次第である。

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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(3)

正藍染の草木染の茶と緑糸を撚り合わせて紬に…







気分が乗っていたのだろう、いつもなら2~3ヶ月はかかる試作期間がその半分で済んだ。完成試着会に望んだ職人たちの満足気な顔付きが、今回の記念作務衣の出来栄えを物語っている。深みというか奥行きのある藍である。微妙に緑色がからみ、まさにその名の如く青淵の彩りだ。







タテ糸は例のトルファン綿糸を正藍染にて先染め。武州ならではの絣が生きている。ヨコ糸は…。







「茶と緑の草木染の糸に、藍染の糸を撚り合せた太糸で紬に仕上げてみた」と石塚さんの口から自信満々の説明である。







青木渓水さんは含み笑いしながら口をはさまない。文句なし!という時に見せるこの人の表情である。



秋元さんは?知らぬ顔の半兵衛を決め込んでタバコをふかしている。







この三人の構図をして、武州では“完璧”という。

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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(2)

絹もいいけど、綿でやりたい。それもとびきりの素材で…。







タテ糸を正藍染の雨絣にて染め上げ、ヨコ糸を手紡ぎの糸と藍糸とを撚り合わせて織った紬織物――これが栄一翁をはじめ武州の豪農たちが好んで愛用した<青淵紬>である。







「絹でやるのかい?作務衣開発10周年記念なら、僕は綿でやりたいな。それも、とびきりの綿でね…」と石塚久雄さんからの提案。全員異論なし。10年もチームを組んでいるとこのへんのことはよく分かっている。







というわけで素材は<トルファン綿>を使うこととなった。



トルファンとは、中国新疆ウイグル地区シルクロード天山南路の東北部の地名である。この地で得られる綿糸は、毛足が非常に長く、シルクに近い艶があり、天然綿の宝石といわれている。その性質を利用して、超極細糸が紡がれる。しかし、生産量は極く微量。その意味からも、絹に勝るとも劣らぬ素材といえるだろう。







トルファンを染められる――と、藍染師秋元一二さんがワクワクしている。石塚さんの頭の中は、もう紬織りのことでいっぱい。創織作家としての好奇心がムクムクと頭をもたげてきている。渓水さんはカメに付きっきり。







ここまでくればもう大丈夫。余計な口出しはしない方がいい。今回の作務衣づくりのコンセプトは十分に伝わっているから、後は彼らの技の冴えを見せてもらうだけである。



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青淵紬(せいえんつむぎ)の再現に武州が燃えた!(1)

「ワシは黒子でいい…」と、本誌への登場を頑なにこばみ続けてきた青木渓水さん。染めの秋元一二さん、織りの石塚久雄さんを率いてすべての作務衣づくりに参加してきた。いってみれば、武州職人の元締め的な存在である。







しかし、今回だけは黒子を決め込む訳にはいかないようだ。伝統芸術を着る会の10周年を記念した作務衣づくりであるばかりか、当人の伝統工芸士認定を記念する意味も込められているのだから…。







<青淵紬>の再現に武州の職人たちが燃えた!







「10周年記念だろう。武州の名にかけてもヘタはうてないぞ、なぁ…」



渓水さんが鬼になった。この気迫に秋元、石塚という武州が誇る名職人二人の顔にも緊張が漲っている。



「で、考えたんだが、ここ一番は栄一さんのアレしかないんじゃないか…と思うのさ」と渓水さん。「青淵か!」と秋元さん。「紬だな!」と石塚さんが素早く反応する。







武州が生んだ明治の偉人、渋沢栄一が好んで愛用していた<青淵紬>を再現、記念作務衣として仕上げようということである。すでに渋沢家の了解は取り付けてきたという。渓水さんがノッている。







代々、藍玉問屋として利根川流域の藍玉を商っていた渋沢家だけに、理解は深い。武州のため、藍染の発展のためなら――と快諾。栄一翁の雅号であった<青淵>を記念作務衣の名称として頂くこととなった。







「何だか大層なことになったなぁ」と秋元さん。「こいつは大仕事だ」と石塚さん。10周年記念、伝統工芸士、そして渋沢家の期待――さまざまなプレッシャーが、武州の職人魂に火を付けたようだ。







藍染液の調子を整える地味だけと大切な役目<藍建>は、渓水さんが自分でやるという。秋元にいい仕事させたいからね…と藍ガメのそばに座り込む。何だかいい雰囲気になってきた。

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武州の職人集団「伝統工芸士」の認定

<伝統工芸士>の公的認定がおなじみ武州の職人チームに!







本人たちは望まなくとも、その実力は世に知れます。おなじみ武州の職人集団に「伝統工芸士」の認定が成されました。







代表して藍建師の青木渓水さんが受賞。95年1月、青木渓水氏の「伝統工芸士」の認定を記念した受賞パーティーが関係者多数の参列を得て盛大に行われました。







今さら…という感じもしますが、やはり公的認定は当会としても嬉しい限りです。


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豊かな自然の賜物と職人の技との結晶。作務衣創りに藍染の技あり。(3)

清流と職人の意気込みが彩りを磨いてゆく







“かせ糸”の漬け込み回数による微妙な色合いの調整、そして河などの豊かな清流を利用して行われる、みそぎにも似た入念な洗いなど・・・。







藍染めを行う過程は、もちろんすべてが職人による丹念で手間暇のかかる手仕事。



彼らの鍛え抜かれた感覚と技術が、藍という自然が生んだ原石を至宝の彩りへと高めてゆくのです。







そんな生きている色だからこそ、藍は、見る人や着る人を問わず、しんしんと心に滲みてゆきます。







時を越えて、数え切れないほど大勢の人々の間で、変わることのない普遍の彩りとして愛され続け、これからも私たちの暮らしと共に歩んでゆくことでしょう。

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